踊り出す言葉1:滑らかになれない言葉


人間は、地球上で最も進化した脳を持つらしい。
もちろん、人間基準で。
ノミが「俺は地球上で最も高く飛ぶことが出来るんだ!」って吠えるのと、似たり寄ったりのような気もするけど。

人間が最も進化しているという証は、人間(だけ?)が高等で複雑な言葉を操るからだ。
ネアンデジタール人は絶滅したのに、人間の祖先のクロマニヨン人が生き残れたのは、咽頭の形状が異なっていたせいだという学説もあるそうだ。
(咽頭は鼻腔や口腔の奥にある管状の部分)
要するに、クロマニヨン人は、ネアンデジタール人よりも、高音域の音を発声することができたので、生き残ることが出来たんじゃないの?
ってことらしい。

<そもそも言葉って何だ?>

私たちは、いろいろな事を感じる事ができる。
朝は、温かい布団から出るのが泣きそうなぐらい辛い(特にこの時期は、天国と地獄だ!)し、震えながら飲む熱い(五臓六腑に染み渡る)味噌汁は、抱きしめたくなるほど美味い(日本人で良かったっす)し、痛いぐらいの寒さは、挫けて引き返しそうになる(でも、仮病は二日前にも使ってる・・・)。
私たちは、色々な事を感じることはできても、言葉がなければ、それに関して考えることも、話し合うことも出来やしない。
私たちは、アナログ的なものに名前を付けて、切り出すのが得意だ。
でも、「熱さ」なんてものを、真剣に考え込んでみると、思わず「あれ?」って言ってしまう。
あれれ?そもそも「熱さ」って何だ?

<熱さ?・・・話は一体何処へ?>

温度は、「高」「低」が、滑らかに連続的につながっているだけだ。
外は雪が降りそうなほど寒くて、家の中は(少なくとも凍えない程度に)温かい。
いくら空間的には、壁と窓で外と内が仕切られているとはいえ、温度は外から内へ、やっぱり滑らかにつながっている。

じゃあ、熱さって何だ?
人間は、まあ、何となく、ぼちぼちと、そんな感じで、連続的に移り変わっていくものを、表現するのが苦手だ。
だって、「今日は、まあ、ぼちぼちと連続的に変わる温度の高いほうですね」なんて言うよりは、「今日は温かいですね」と言ったほうが、圧倒的に分かり易い。

ぼちぼちと移り変わる連続的なものから、言葉を切り出す作業は、アナログをデジタル化処理するのに似ている。
現代はデジタル時代だ(「私はアナログ人間だから」)なんて言われているけど、何のことはない。
人間は、ずっと昔から、地道にデジタル化をやってきていたんだ。


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