踊り出す言葉2:粉砕されつつある世界


時代は、アナログからデジタルへと進みつつある。
何でか、「デジタル」って言葉は先進的(クールって言うの?)でかっこいいけど、「アナログ」は時代遅れって感じだ。
(「私はアナログ人間だから」って言うおじさんは絶滅したのだろうか?)

<言葉はデジタルだ!>

私たちの使う言葉は、(アナログ的で)複雑な世界を、(デジタル的で)単純なパーツへと分解していく。
人間は、考える時には言葉を使うのだから、時代がアナログからデジタルへと変動するのも必然だと言えば、「そりゃそうね」って感じなのかもしれない。
でも、やっぱり世界は、連続的で、滑らかで、アナログ的だ。

ちょっと寄り道・・・
物理学の見地では、物を、これでもかこれでもかって細かくして、「それって一体何なの?」って言いたくなるぐらい細かい粒子にすると、波動性(アナログ)と粒子性(デジタル)の二重性というものが現れるらしい。
「それって一体何なの?」

<まあ、世界はアナログ・・・かな>

(寒いから嫌だけど)外に出て、頭上を見上げると、そこには「対流圏」があって、その上に「 成層圏」があって、その上に「中間圏」があって、・・・(まだあるの?)・・・その上に「熱圏」があって、その上に「外気圏」があって、・・・(まとめて「空」でいいじゃん!)・・・ようやく、その上に「宇宙」がある。
(寒いからとっとと家に戻りたいけど)逆に、下に目を向けると、「〜岩」とか「〜群」とか「〜層」とかが入り乱れて、「大陸地殻」の下に、「海洋地殻」の下に、「マントル」の下に、・・・(まとめて「地面」でいいじゃん!)・・・ようやく、地球の中心部「コア」がある。
地球の地軸の微妙な傾きは、「春」→「夏」→「秋」→「冬」をもたらして(なぜだか服も「春物」→「夏物」→「秋物」→「冬物」ってローテーションする)、「水」が凍れば「氷」になるし、逆に蒸発すれば「水蒸気」だし、私たちは、生まれたときは「赤ん坊」で、いつしか「子供」になって、やっぱりいつの間にか「大人」になって、そのうち「お年寄り」って呼ばれ始める(出世魚なんか目じゃないな)。

アナログな世界は、デジタルな言葉のおかげで、もう、バラバラだ。

<でも、時代はデジタルなんでしょ?>

デジタル化は、確かに便利だ。
(完璧じゃないけど)曖昧さが排除されている分、正確に多量の情報を伝えることができる。
でも、残念ながら、便利な道具というのは、便利であればあるほど、私たちが本来持っている感性や能力を消滅させてしまう。

便利さというのは、憎らしいほど甘美で、一度手に入れると、もう手放せない。
時代がデジタル化に進み、色々なものがどんどん便利になり、私たちはますます愚になっていく。
伸びている能力は、タイピングの速さと、親指の器用さぐらいなものだ。


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