踊り出す言葉7:取り戻した言葉


私たちは、結構、色々なものに感動する。
はっきりいって、感動が好き好きで、たまらない。
(だから、いつまでも、『全米No.1!』の広告に騙されてしまう。)

だけど、感動は、理屈では分解(デジタル化)が不可能だから、
科学には、人を感動させる力があまり無さそうだ。
まあ、時々、数式に萌える人もいるみたいだけど。
(式の対象性が美しいのですよ!)

<感動は芸術だな>

私たちの感性に直接響く、芸術には、様々なジャンルが存在する。
その中でも、私たちが感じる感動の中でも、別格なのは、音楽だ。
老若男女、国籍問わず、これほど共感されるものは、他には見当たらない。
だって、ピカソの絵には首をかしげる人が、
「Let It Be→♪Let It Be↑♪Let It Be↓♪Oh↑♪Let It Be→♪」
には、歌詞の意味が分からなくたって、涙を流すでしょ。
(みんなもそうに決まってる!)

しかも、人間と音との繋がりは、かなり根が深い。

<とうとう本題か?>

人間は、めちゃくちゃに、地球上に溢れかえっている。
それでも、世の中が(破綻せずに)回っていくのは、私たちのコミュニケーション能力が優れているからだ。

冒頭のネアンデジタール人が絶滅し、クロマニヨン人が生き残った仮説。(咽喉が決め手なんすよ!)
音楽に合わせて、体をくねらせるシャーマン。(えっ!精霊と交信?)
古来から伝わる打楽器の数々。(通は四つ打ちなのか!?)
世界各地に伝わる様々な踊り。(同じアホなら、おどりゃな、そんそん。)

音楽は、確かに、正確な情報を伝えることは、難しい。
だけど、単純なリズムは、私たちの感性を直撃する。
私たちは、教えられることなく、音楽を体で感じることを知っている。

<音楽はアナログだ!>

(現代の)言葉を憶えるまでは、人間は、音でコミュニケーションを取っていたはずだ。
猿が、奇声を上げて、虎の接近を仲間に伝えるように。
(ガラスを引っかく《キ〜〜》って音は、太古の警告音だとか・・・。)

つまり、音楽は、原始の言語なのだ。(なおかつ、最新の言語とも言える)

旧約聖書の『バベルの塔』では、神々は、思い上がった人間から、共通の言語を奪ってしまう。
ひょっとすると、神々が奪ったのは、音楽に似た太古の言語なのかも知れない。
おかげで、私たちは、デジタルな言語に頼らざるをえなくなった。

冷徹な言葉は、情報を伝えるには適していた。
だけど、感性に響かない言葉は、人間を孤独にしていった。

でも、人間は、やっぱり、したたかだ。
一度は奪われた音楽を、道具によって、ちゃっかりと取り戻してしまった。


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